「平均偏差値50」の壁と2つの落とし穴 [クラスアップは、簡単じゃない]
四年生で入塾して、算数が足を引っ張った状態の花蓮ではありましたが、やがて平均偏差値50に届くと思っていました。かなり楽観的だったのは、五年生になると、日能研の塾内テスト、カリテで平均点を超えることが多かったからです。
ところが、なかなか偏差値50を超えることができない。3年間の中学受験生活のなかで、超えたこともあったけれど、常時超えるのは花蓮にとっては難しかった。やっぱりちょっと、届かない。
偏差値50という1つの壁。どうして、ちょっとだけ届かないか────これは、私にとって、不思議なことでした。
「平均偏差値50」の壁はぶ厚い
理由がわかったのは、前にもご紹介した「はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識」(宮本 毅著)を読んだときです。中学受験における平均偏差値50のカラクリについての文章で、要約すると────。
中学受験は、小学校で比較的、成績上位の生徒が多く受験する。つまり受験生全体のレベルが、まず高い。その上位層の平均点が、中学受験の偏差値50となる。これは小学生全体の平均点よりもはるかに高いラインである。全国の同年齢の学生が受験する大学受験などとは、基準となる母集団が違うから、同じ「平均偏差値50」という言葉であっても、その意味と内容は違う…………。
なるほどと、納得しました。加えて、偏差値50を超えている子たちは、すでに花蓮よりも成績がいいうえに、さらに上をめざして勉強していた。花蓮もがんばりましたが、同じように頑張っているのでは、平行線に近い。追いぬくことは、簡単ではない。
だから勉強しても勉強しても、偏差値50に届かない。じりじりと50のラインがあがっているような錯覚さえ覚えたのは、私だけでしょうか…………。
*宮本先生は、経験上、中学受験の平均偏差値50は、高校受験の60くらいだともおっしゃっています。そして中学受験で基礎的な学習態度を身につけしっかりと勉強しているから、高校受験でリベンジするのはそれほど大変ではないとも。興味のある方は230~234ページ:はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識
カリテの平均点とクラス発表に目を奪われて
1つめの穴に落っこちた
偏差値50は、実は大きな壁なのに、なんだか超えられそうに感じていたし、とても楽観的に考えていた────それは、私が落とし穴に落っこちたからです。
塾では毎週のようにテストがおこなわれますよね。そのカリテで平均を超えているかは、1つの目安。超えているととりあえあず、ほっとしてました。だって、平均────真ん中より上なのですから。そして次こそは、偏差値50に届きそうに感じたものでした。
実は、花蓮がいた最終クラスは、カリテで日能研平均より20~30点以上、上まわっていました。それでも公開模試になると、偏差値50にちょっとだけ届かなかった。どこまでいっても、やっぱりちょっとだけ届かなくて、やっと気づいて驚きました。日能研平均=偏差値50ではないというあたり前の事実に。────これが、私が落っこちた1つめの落とし穴です。とくに六年生になると、外部受験生が増えることも大きく影響してくると思います。
今考えると、どうしてもっと早く、こんなあたり前のことに気づかなかったのかと思います。見えなかったんですね。50のラインがどこかより、四年生、五年生のときには、くるくると毎週のようにおこなわれるテストとクラス発表────次のクラスがアップするか、ダウンするかに、目を奪われてしまっていました。
平均偏差値50の壁を超える
夏休みの作戦
さて、平均偏差値50の壁を超える。その作戦としては、まずクラスアップ・ダウンに振り回されないこと。気になると思いますが、とても重要なことです。そして地道に実力をつけて、偏差値50を下まわる科目を引きあげること。50を超えている科目をさらにあげようとするより、ずっと効果をあげやすいからです。とくに中学受験における偏差値50の意味と内容を知ったあとでは!
具体的には、カリテ、そして公開模試の振り返りを徹底してやることです。ポイントをあげてみましょう。
①カリテと模試のふりかえりは、原則テストが実施された日か、その翌日に終えることになっているが、やり残したものは、夏休みや冬休みを利用する。専用のノートをつくる。
②塾で配布される4教科が一覧になった成績表を用意して、正答率50%のところで横に赤いラインを入れる。正答率50%以上で、できなかった問題をピックアップ。カリテの問題用紙に印をつけて、専用のノートに解き直す。4教科、それぞれ何題あるか合計し、日数で割って、1日に取り組む問題数を出しておく。とくに四年生、五年生は、ここで50%以上を確実にふりかえっておけば、すこしずつでも偏差値50が近くなる。
③ふりかえるときには、できなかった問題を次の3種類に分ける。
A)できる。もう一度やってみたら、解けた。
B)できなかったけれど、できそう。解説を読んだらわかった。
C)まったく、わからない。
④Cタイプのわからない問題を、無理に理解しようとしないこと。とくに苦手教科の場合は、このタイプの問題は解説丸写しでもいいから、さっと通り過ぎること。時間とエネルギーは、Bタイプの問題を確実に解けるように使うほうが有効です。花蓮は全部やろうとして、疲れたし(花蓮も私も)、時間の使い方として下手だったと反省しています。また、四年生で理解できなくても、五年生になれば理解できることもある。学年が進むと理解できるケースもある。全部を完全にやろうとしないで、「もうすこしでできる」を「確実にできる」ようにするのがコツだと思います。
ちなみに、問題を3種類に分けるこの方法は、やってみてよかったので、普段の授業で先生が問題を解いたり解説したりするときにも、取り入れました。〇、△、×でもいい。自分でチェックを入れる習慣がつくと、問題の難易度に対して敏感になってきます。また理解度を親も把握しやすいし、家庭学習する際にも効率アップにつながりました。
⑤苦手科目は、絶対に、長くやらないこと。短い休憩を入れたり、ほかの科目をはさんで、サンドイッチにするなど、必ず工夫して取り組むこと。苦手科目をやっていると、もう1題と、つい欲張りたくなるのですが、最後のその1題にものすごく時間がかかって…………。ボケツを掘ったことは数えきれません。またやっている間に、効率が落ちてくる。苦手科目はあくまでも、短期集中に徹すること。夏休みに毎日取り組むのであれば、ちょっと物足りないくらいでやめて、ちょうどいい。
最後に、得意科目にもふれておきます。得意科目は正答率30~40%以上の問題にもあたること。また、どんなに正答率が低くても、自分では自信があったのに×だったという問題は、時間をおかずに(これだけでも、テストのあった日に)、必ずふりかえる。試験問題を自分なりにどこまで理解し、納得できるかどうか。そのこだわりが得意科目をさらにのばす重要なポイントだと思うからです。
「足りないもの」ばかりを見て
2つめの穴に落っこちた
苦手科目を克服して、平均偏差値50に近づける。作戦としては間違っていなかったはずです。でも、そうしている間に、私は2つめの穴に落っこちてしまった。当時は夢中だったから気づかなかったけれど、今ではよくわかります。偏差値50ある科目はとりあえずOKと、心のどこかで思ってしまったんですね。50のラインを意識しすぎていたのかもしれません。いつも、足りないところばかりに目がいって、それをどうするかばかり考えていました。花蓮には、算数をやらせすぎました…………。
そう、もっと「得意」を増やしていくことに、時間とエネルギーを使えばよかったと反省しているのです。「得意」が国・算であれば中学受験に有利だけれど、そんな了見にとらわれないで、理科でも社会でもいい。植物でも、星座でも、歴史でも…………。「得意」がないなんてことは、絶対にないはずです。子供の様子をようく注意すれば、とても狭い分野かもしれないけれど、普通よりよくできる分野や単元が必ずあると思います。それを磨いてほしい。四年生、五年生であれば、なおさらです。六年生も、ぜひなんとか────。今ならまだ、時間があります。とくに、夏休みだからこそ、取り組むことができると思います。
「得意」は自信につながる。その自信は、受験本番を迎えたとき、大きな武器になるはずだと思っています。
ただ、その「得意」は、中学受験では表に現れず、埋没してしまうかもしれません。平均偏差値という言葉のもとに────。でも、ここでもう一度、中学受験の偏差値50の内容を思いだしてほしいのです。たとえ1つの分野や単元であったとしても、普通にできれば、それは同年齢の子供たち全体からすれば、かなりよくできるということを。またできる、できないとは別の形────子供にとって、今はまだ、興味があるという形の可能性もある。4教科を一括りにして、ぺたんとアイロンをかけるように平らにしてしまう、平均偏差値という、ある意味で単純な物差しで、すくいきれないところに、もしかしたら、子供の本質────中学受験のあとに光り輝いてくるものがあるのかもしれない。
ちょっとだけ得意。なんだか面白がってる。興味をもっている────そんな程度であったとしても、やがて光り輝く原石かもしれないと思って、いっしょに見つけてあげて、認めてあげて、褒めてあげる。それは、親にしかできないことであったと、今さらながら思うのでした。
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ようこそ!
中学受験を終了されて、いろんな感想を綴ったコメントを送ってくださって、ありがとうございました。
お返事を書きました。
今は、おたよりのページの整理が追いつかない状態ですが、少し時間をかけて、また、「風は、うたう」のページにまとめていこうと思っています。
今日も、来てくださって
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<2012年 中学受験体験記>
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走り抜けたみなさんへ
長い長い間、ほんとうにお疲れさまでした。
親子で走り続けることって、いいときばかりではなくて、むしろ辛いときや、投げ出したくなるときのほうが多い。それが中学受験を終えたときの、私の率直な感想でした。
でも、それを最後までやりとおしたことって、すごいことなんですよ。─── そして走り続けた、おひとりおひとりの日々を思うと、ほんとうによくやってこられたと思います。
決して、結果ではない。後悔しないこと─── それが一番大切だと、私は思っています。だって、それが生きるということじゃないですか。
その大切さを伝えたくて、あえて「全落ち」という言葉を使って、今回の記事は書きました。後悔しない日々の先にこそ、必ず道は開けてくる。たとえ、いま涙を流そうとも、たとえ少し時間がかかったとしても………。 必ず道は開けると、私は信じています。
わが子の居場所が感じられる学校に進学された方も、また合否にとらわれずに、最後までお子さん自身の意志を尊重された方も、みなさんの手のなかには、その結果以上のものが、わが子との間に確かにあると感じていらっしゃるのではないでしょうか。
そして中学受験、道半ばのみなさん、どうか今日一日を大切に。
わが子との一瞬一瞬を大切に、過ごしていってください!
<2012年 中学受験体験記>
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去年、中学受験を闘った私自身、正直、辛いことが多かった。
受験ですから、競争ですから、それにママ友をつくるのがあまりうまくない私にとって、試行錯誤の日々でした。
ひどく孤独ななかで感じたり、考えたり、また見つけた方法を、できるだけ多くの中学受験をするお母さん方に知ってほしいと思って綴りました。
ひどくムラのある投稿にもかかわらず、
アクセス解析をみると、深夜でも、早朝でも、どの時間帯も、いつも、何人もの方が必ず読んでくださっているということが、
このブログを書き続ける、私の心の支えでした。
心から感謝しています。ありがとう。
<2012年 中学受験体験記>
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